伝教大師(最澄) 聖訓 比叡山 延暦寺 山家学生式

「真の国の宝とは、物質的価値のあるものを言うのではない。国家社会の平和と人類の幸福となることを願い、これを言い、これを行う道心のある人のことをいうのである。社会の一隅にあって、世のため、人のために、利己的な心を忘れて尽くすことが慈悲の極みである」と説かれている。
私たちは、この大分県の大分東部病院という一隅にあって、人々のために、医療という仕事を通じ、人々から愛され、感謝されるよう全職員が心を合わせ、吾が身の一燈を灯し続けて行かなければならないのではないかと思っています。
今、医療界は大きな改革に迫られています。これに対し、如何に適応して行くかについて新しい医療のありかたが求められています。現代医療は正しい科学的な情報にもとづいて行なわれることが要求されています。科学という論理的な情報は、構造的、機械的な世界では大きな力を発揮していますが、医療は、機械的な修理だけではなく、人体には、構造的機械的な一面とともに、精神・心・“魂”など現代医学とは別の高次元の要素が共存しています。いかにこのような複雑な問題に正しく対応していくのかが我々医療人に求められている緊急の課題ではないかと思われます。
人間は、科学的情報のみで生きているわけではありません。生命は太古より、科学的情報の外に、膨大な感性的な自然情報により生存しつづけています。人間の真の生きざまは、科学的情報と感性的情報の両面にあると思われます。医療を行う場合、人間には科学的情報と共に感性的な情報が共存していることの重要性を決して忘れてはならないと思います。
医学教育や臨床の場において、科学的な情報のみが重視され、感性的情報が軽視されている現状をみるとき、今、我々が着手しなければならない新しい医療のあり方が明らかとなってくるように思われます。
これらの情報の改善と具体的な有り方については、次号より発信して行きたいと思っています。
医療法人 敬和会 会長 岡 宗由